仙台リスクマネジメント(HR-RM) Human Philosophy-Risk Management

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失敗学のすすめ   畑村 洋太郎 著 抜粋まとめ  :講談社 ¥1600

失敗学

 

創造的な設計をするためには、多くの失敗が必要だ。

 

今まで、

決められた設問への解を最短で出す方法、

こうすればうまくいく、失敗しない、

ことを学ぶ方法ばかり。

 

日本人の欠点=創造力(自分で課題を設定する能力)の欠如

 

昨日までの成功(人まね)は明日からの成功を意味しない時代。

正しいやり方(パターン化)=表面的

 

こうすれば失敗する(まずくなる)を知って企画することは、

誰よりも一ランク上の創造の次元から企画をスタートできる。

 

人が痛い目にあった体験を正しい知識とともに伝えること。

成功話よりずっと聞き手の頭に入るもの。

 

大事故の共通原因

日常的な失敗とのつき合い方そのものに問題がある。

失敗とうまくつき合うことができなかったことが原因の事故。

 

失敗を隠すことによって起きるのは、次の失敗、

さらに大きな失敗というより大きなマイナスの結果でしかない。

 

失敗の法則性を理解し、失敗の要因を知り、

失敗が本当に致命的なものになる前に、未然に防止する術を覚えること。

 

人の営みが続く限り、これから先も失敗は続くし、事故も起こる。

だからこそ失敗を活かそう!

 

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失敗とは?

 

人間が関わっている、望ましくない結果。

 

人間が関わって行うひとつの行為が、

はじめに定めた目的を達成できないこと。

 

自然災害

人災:人間が作ったものが本来の用を果たしていない。

 

天災

地震、噴火、津波

 

 

 

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失敗学とは?

 

失敗の特性を理解し、不必要な失敗を繰り返さないとともに、

失敗からその人を成長させる新たな知識を学ぶこと。

 

マイナスイメージがつきまとう失敗を忌み嫌わずに直視することで、

失敗を新たな創造というプラス方向に転じさせて活用すること。

 

本当の意味で身について使える知識は、

失敗体験・実感なしにはマスターできない。

 

最初のうちにあえて挫折経験をさせ、それによって知識の必要性を体感、

実感しながら学べば、どんな場面にでも応用して使える真の知識が身につく。

 

子供とナイフ

小さな失敗を不用意に避けることは、

将来おこりうる大きな失敗の準備をしていること。

 

 

 

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失敗の階層性

 

雪印集団食中毒事件:2000年6月:関西

低脂肪乳・黄色ブドウ球菌毒素混入

事件後10日社員家族投書:背景と階層の指摘

 

数年前 O157:病原性大腸菌による食中毒の発生

保健所の対応の遅れにより関西地区で被害拡大。

同じ関西地区で再び大規模な集団食中毒事件、

後手に回った行政の対応。

 

階層の上に者は、自分の責任が及ぶことを怖れて、

失敗の責任を下の者に転嫁することが多い。

病院医療事故。

 

 

 

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良い失敗、悪い失敗

 

良い失敗:必要な失敗:成長や発展を促すためにもどんどん経験すべき。

失敗から人々が学び、その経験を活かすことで、

未知なる知識の発掘に成功した場合。

この功績がその後の技術・システムの飛躍的進歩に結びく場合。

 

個人にとって未知への遭遇

ただ叱るだけでなく、その人成長過程で必ず通過しなければならない失敗は、

良い失敗と認めるべきです。いたずらに責任追及はおこなうべきではない。

 

失敗と成長ないし発展の関係は、生物学で説明される原理である

固体発生と系統発生の仕組みに似ている。

 

 

悪い失敗

良い失敗に含まれないすべてのもの。

 

個人の失敗でも、いたずらに失敗を重ねて悪い癖をつけるもの。

 

個人にとって意味があるものでも、まわりに与える影響が大きいもの。

 

得られるメリットとデメリットを比較すれば、

デメリットの方が圧倒的に多いもの。

(確実に生産性があがる新規企画提案に対して、真摯に検討せず採用しない等)

 

階層性:中層以上:組織不良から社会システムまではすべて。

 

 

本来経験的に学ぶべき「良い失敗」は、数として意外に少ないもの。

失敗体験から本質的な部分を理解して知識にするには、

わずかな自分の経験と、他人のいくつかの典型的な失敗体験情報が

あれば十分(リスクマネジメント・セミナー事例研究の意味がここにある)

 

 

 

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失敗は成長する。

 

ハイリッヒの法則

放っておくと失敗は確実に成長して大事故が起きる。

最近多発する企業不祥事

すべていままでよく事件・事故が起こらなかったという事例。

 

水をたたえるダムと同じ構造

小さな失敗という水を放水(原因分析→防止策)

旭化成:好事例

 

放水しない会社→ダムの決壊

もっとも弱い部分で小決壊→大決壊

組織は内部から滅びる。外部の敵は、きっかけにすぎない。

 

 

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失敗は予測できる。

 

ハインリッヒ:300の小事故:インシデントの部分で

理屈として考えれば、これほど簡単な失敗回避の対策はありません。

しかし現実には、こうした失敗の予兆は放置されることがほとんど。

日本文化:失敗=恥ずかしい、忌み嫌う、見たくない、言いたくない、

見たくないものは見えない。

その挙句、失敗した人には必然的に起こった失敗の原因まで、

未知や不可抗力という言葉でごまかそうとする傾向。

 

事例:量罰規定:車両使用禁止:駐車違反報告なし

 

 

 

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失敗情報

 

伝わりにくく、時間が経つと減衰する。

津波:三陸海岸の石碑

 

隠れたがる

 

2000年3月8日 日比谷線事故:せり上がり脱線

5人の死者と60人の重軽傷者

1992年10月と12月も同じ事故。

 

2000年7月リコール隠し三菱自動車

 

単純化したがる

 

A→B→C→D(ここにおいては単純化され真意は伝わらない)

地震がきたら火を消せ?関東大震災からの教訓

真意:まず振動が収まるのをまって、それからすぐに火を消せ。

 

変わりたがる

 

病院事故・原発事故等の事例

失敗情報:伝わると困る人、使わないと困る人、中間利害関係に悩む人

階層性が絡んでくる。

 

神話化しやすい

 

戦艦大和

悲劇の00?

実は戦略・戦術についての制約条件の変化が真の原因

 

ローカル化しやすい

 

部署間の競争

同じ失敗が別な部署で繰り返される。

上下も移動しない:評価ダウン→給料ダウン:雪印

バブル内に乳固形物の汚れ:それは本当か!と社長が叫んだ。

工場長:役員になる一歩手前→昇進を考える。

 

客観的情報は役にたたない。

 

誰に責任があったかということより、

失敗したその人がどんなことを考え、

どんな気持ちでいたかという、

一人称で語られる生々しい話が、

情報として生きてくる。

 

身近な問題として実感できるのは、

むしろ日記のように心理状態まで克明に綴られたもの。

 

知識化しなければ伝わらない

 

記録のあとに知識化という作業を入れ、伝達することが大切。

 

決して批判しない。

目的はその人の責任を追及することでなく、

あくまで失敗を知識化し、次につなげるもの。

 

 

 

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経済と失敗

潜在失敗を含み損としてとらえる

 

失敗の予兆を生かすことが得になるような経済メカニズムの導入が有効。

 

雪印:牛乳の20%のシェア

全工場で生産停止

全国の食品売り場から20%(5分の一)が姿を消す異常事態。

牛乳はいいものだけど、安全性も問題があるかもしれない、

という印象を消費者に与え、牛乳消費動向そのものにもあく影響。

事例:リフォーム業界

 

失敗をなくすための安全管理などは、

むしろ経費が増大するだけで、

できることならやらずにすませたい、

と考えがち。

 

潜在危険を顧みず、大きなリスクを負ってまで、

目先の利益を追求する姿勢は間違い。

 

雪印:特殊なケースではない。

300件の小事故:インシデント:ひやりはっと:失敗

を忌み嫌い、これと真正面から向き合わずにいた組織運営を

続けていくなら、どんな企業でも同じ結果た訪れる。

 

これを防ぐには、見えにくい失敗を顕在化させる経済システムが有効。

企業のバランスシートの負債項目に「潜在失敗」を加えるべき。

 

BS

含み損、含み益をすべて表すのがいまは国際標準。

 

潜在失敗:万一、失敗が生じたときの損害の程度を予測し、

その総額に失敗の発生確率を乗じて、含み損にして示すこと。

ベースは、リスク回避のための保険発想と、時価評価の考え方。

 

事例:大失敗・大事故における十村が一兆円。

30年続くブランドイメージ

直接損害+間接損害

確率 年3%

この会社が背負っている負債リスクは、

一兆円の3%→年間300億円のマイナス要因を抱えているという評価。

 

経済原理から考えれば、ここまでくればどんな企業でも存亡をかけて

なんらかの対策を打つのが自然の流れで、

失敗を直視した形での真の意味での改革がスタートできる。

「失敗対策をしないと損」という意識を企業に徹底させる上でも効果がある。

 

ここから一歩進んで、やがては「失敗を生かすシステム導入で時価評価をあげられる」

といったプラス発想が生まれてくる。

 

環境対策が評価される時代だからこそ、

当然のように、失敗を顕在化させる経済システムはあるべき姿。