リスク対策.COMという2ヶ月に1回発行のBCP専門の雑誌がありま
す。(http://risk-t.com/)この中の対談「BCPは金融危機に通用し
ないのか」(2009年1月25日号)について要約とコメントの続きを掲
載します。
質問「結果事象の考えから事業継続をしっかり考えていれば、今
回の金融危機も回避することはできたのでしょうか」
Lyndon Bird 氏
「BCMはあらゆる問題を解決できる完璧なツールではない。しかし、
金融業は、地震やテロなど予測できるリスクに対するBCPやBCMは持
っていたが、結果として、全体のリスクを見ていないケースが多か
った。
今回の金融リスクは、金融工学を駆使して利益を生み出す非常に
数学的に複雑なものから発したが、BCM 的な考え方をすれば、シン
プルなものだったと考えられる。
つまり、一般的な企業におけるサプライチェーンから部品調達と
同じように、どのお金がどこから入ってどこで利益を出しているか
を整理すれば、利益を出す部分に対するリスクが何かを見つけられ
たはずだ。
金融危機ではサブプライムローンに象徴されるように、金銭的な
余裕のない人に高金利を貸し付けて利益が生まれていたわけだが、
BCP の考え方を取り入れることで、少なくとも、もっと早い段階で
脅威に気付くことはできたと考えられる。
BCM はビジネスを正しい方向へ引っ張るものでもある。
イギリスには、ある著名な投資家がいて、彼は絶対に投資銀行に
投資しないことで知られている。彼が投資するのは自分がビジネス
モデルを理解できるものだけで、銀行は、利益の出ところが納得で
きないから投資先に入れないのだという。
これは彼の優れた知恵だが、BCP 的にも納得のいく考え方だ」
篠原氏
「企業、政府を含めて、全体像を理解した人間がいなかったとも言
えるが、今後、事業継続の分野では、世界を含めた全体像を俯瞰し、
戦略的に行動できる人材の育成が日本の産業にとってもますます重
要になる」
尾崎・筆者:注
この対談おいて、「BCPは金融危機に通用しないのか」という回
答は上記の部分だけでありましたが、上記の二人の回答はとても意
味深長で、重要な回答だと私は思いました。
前号で私が、インプット(受け入れ)、プロセス(業務遂行)、
アウトプット(成果物・仕事の結果の引渡し)という3つの要素に
含まれるリソースに対し「こうなっては困る」、「これでは業務が
行えない」という状況を描き出すことで被害が想定できます。この
被害想定をすることがリスクマネジメントの基本となります、と述
べました。
上記対談者の意見をまとめると、まさに経営者は世界的な全体像
を理解して、中・長期的な時間軸も考慮しつつ、金融的な、財政的
なインプットやアウトプットが読めるかどうか?
読める範囲の中でリスクマネジメント対策をしていくということが、
「BCPは金融危機に通用しないのか」という問いに対する回答に
なるかと思いました。