「BCPと金融危機」
「BCPと金融危機との関連性は何だろう?」。
私は昨年秋依頼米国のサブプライム・ローン問題から端を発した、
世界同時進行の金融危機に対して、BCPとの関連性が気になっていま
した。
こう思っているときタイミング良く、リスク対策.COMというBCP専
門の雑誌(2ヶ月に1回発行 http://risk-t.com/)の1月25日号
をめくっていたら丁度、私の疑問答えてくれる特集記事がありました。
タイトルは「”派遣切り”はBCPの姿か?」、そしてもう一つ緊急
対談「BCPは金融危機に通用しないのか」の二つです。
「”派遣切り”はBCPの姿か?」を要約すると以下になります。
要約A
「自動車メーカーらが800人もの災害支援部隊を送って関連会社や
地域の復興を助けた中越沖地震が、古き良き時代に思える」
尾崎・筆者:注
2007年のこの地震のときの自動車メーカーから応援を受けたリケ
ンの事業管理室長である藤井 多加志 さんが、2008年10月9日
東京ビッグサイト・危機管理展における特別セミナー「被災企業がつ
くる最強のBCP~リケンの挑戦から学ぶポイント」の演題で、被害額
について以下のように述べています。
復旧費用:被害額=「15億円」(リケン2007年10月発表
の被害額)
内訳:
機械及びその他 1億円
棚卸資産 2億円
復旧費用 12億円
しかし、リケン事業管理室長 藤井 多加志 さんの発言は
「とりあえず15億円と発表したが、本当の被害総額は分らない」→?
理由
a:どういう壊れ方をしたか今となっては、分らない。
自動車メーカーが来て、あっという間に直してしまったから。
b:部品が壊れて一部買ったという値段なら分るが、人件費や宿泊代、
交通費も一切(応援部隊)から請求されていないので・・・
c:それに、お客様の事業を止めて迷惑をかけたのに、そういう請求
もない。
一方2004年の新潟中越地震における「三洋半導体製造:小千谷
市」の被災によるグループ全体の被害総額は?
約500億円。
上記から分りますように、まさに何百億円とかかったかもしれない
損害に対して、メーカーを主体した応援部隊から請求はこなかったと
いう事実が2007年ありました。
しかし、数年も経っていないの2009年の秋からの傾向を受けて
同じ支援自動車メーカーの状況として「”派遣切り”はBCPの姿か?」
の記事を掲載せざるを得ないという趣旨となっています。
以上 尾崎・筆者:注終わり
要約B
「ある専門化は”自動車メーカーは本当のBCPを発動した”と表現する。
不測な事態に対し重要業務を継続するのがBCPとするならば、地震に限
らず、今回の金融危機も災害と同じというのだ。
しかし、BCPの究極な姿が、首切りやリストラだとしたら、経営者以
外に誰がそのようなものに協力するというのか。
人間をリソース(経営資源)という言葉で片付けてしまていいのか」
尾崎・筆者:注
まさに筆者の言われるとおりと私は思いました。
リケンにたいする自動車メーカーの対応と昨今の金融危機における減
産によるリストラ関連のマスコミ報道とは、対極の相を現しています。
要約C
「それでも地震大国である日本が、世界に対して信頼を得ていくために
はBCPは何より有効な手段であろう。
ようやく盛り上がってきたBCPの火を消さないためには、防災とBCPが
今一度歩み寄り、人命尊重、人間第一を理念とした日本型BCPの構築を
急ぐべいではないだろうか」
尾崎・筆者:注
この意見に、私も賛成です、人間第一を考えず、ただ資本の論理のみ
で走ってしまったら、不良品率のアップ→リコール製品のアップ→回収
・補償費用のアップになるのでは?と私は危惧しています。
BCP策定コンサルを依頼されて現在実践している私は、BCP策定コン
サルを依頼された場合「人間第一の経営理念」があるかどうかを必ずチ
ェックすることを基本においています。
人間らしい心のこもった経営理念があるかどうか、それが浸透している
かどうかで大災害や危機が発生したとき、十分に対応できるBCPかどう
かが試されると、私は思っています。
次回は「対談「BCPは金融危機に通用しないのか」についてコメントを
述べる予定です。
続きのNo.2は「BCP 猫の水濡れと犬」です。