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経営判断のリスクと法理
2008年5月30日  尾崎 洋二


日経ビジネス(4月28日号2008年)鬼頭 季郎(きとう すえお)氏
東京高等裁判所・元裁判長のコメントより

 

「経営判断の法理」という言葉が法律家の世界にある。

 司法は企業の経営判断が正しいかどうかについては原則介入しないという意味。

 理由
 
a 経営判断が法律家の知見を超えた高度で専門的領域のものだから。

b 裁判官の判断は、確定した過去の事実などを前提とした静止的なものなのに、
  経営を舵取りする際の判断は、将来を予測して計画などを立てるものであり、
  絶えず修正可能な極めて動態的なものだから。

c 動きのある経営判断を、動かない事実だけを基に判断するのは適切ではない。



鬼頭氏が担当した「ニッポン放送事件」で企業価値について判断しなかったのも、
この「経営判断の法理」に従った。


裁判官のこうした「配慮」とは裏腹に、会社訴訟事件などに携わってきた40年
間の裁判生活の中で鬼頭氏感じたことは、いかに静止的な経営判断が多いかとい
ものだった。


しかし裁判外の事例として、名物経営者が敷いた路線を否定できず、踏襲するよ
うな例は枚挙に暇がない。そうした先行判断踏襲型の経営ばかりが目につく。


鬼頭氏が学んできたことから言えば、特定の事業についての経営判断は2年経っ
たら見直しの検討がなされるべきで、5年もしたら全面的な見直しを検討すべき。


鬼頭氏も裁判官になりたての頃は先例(判例)に縛られることがしばしばあった。
過去の判例や学説を列挙してみると勉強したんだという気になるが、そのうえで
下した判断は間違っているはずはないと思うが、「知ることと考える」ことは違う。


鬼頭氏の転機となったのは東洋酸素事件(1979年:業績の悪化した部門の人
員整理で解雇。当時の判例は「その解雇がなかりせば会社の倒産の危機に瀕する」
という場合のみ整理解雇が認められていた)


鬼頭氏は、誠実に迷い、苦悩しつつ集中的に考えた。
そして高度成長の頃の状況からは一変したという時代認識に立ち、赤字部門の合
理化に伴う整理解雇は認められるべきとの初の判決を下した。


考える過程においてそこに喜びを見つけ出し、結論においてはここまで真剣に考
え抜いた者は世の中に自分しかいないことを自信の根拠とする。経営者の方々も
このように考えて欲しい。

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経営判断は機動的であるべき。
名誉会長や最高顧問の方々は、自分が作った事業が見直しや撤退となっても自分
に対する批判とか非難だと受け取るべきではない。
現経営陣の人たちは先輩やかっての上司が敷いた路線に気兼ねし躊躇している場
合ではない。

 上記が鬼頭氏のコメントです。

私はやはり全ての責任は経営者にありますので、鬼頭氏の意見に大賛成です。
またこのように、過去の判例に捕われず、庶民感情、時代環境、経済環境、

国際潮流等を見据えた上で「考え抜いた」裁判官の登場を期待したいと思いました。