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不祥事は永遠に不滅・不祥事が発覚したときのリーダーの対応について見習うべき事件
2008年4月23日  尾崎 洋二

再生紙偽装問題が製紙業界を揺るがしている状況と中国製冷凍食品事件について、日経ビジネス(2007年10月8日号)に丹羽 宇一朗氏(伊藤忠商事会長)のコメントがありました。

(箇条書きにまとめすと以下のようになります)


不祥事を未然に防ごうと、多くの企業がコンプライアンス(法令順守)を徹底し始めた。そうした努力は不祥事の発生を抑制する効果は”少し”ある。

だが、経営者は不祥事は永遠になくならないと覚悟した方がいい。


人間なら誰しも、不都合な状況に追い込まれると、
「ウソをつきたい」
「ごまかしたい」
という誘惑に襲われる。


不祥事は、心の奥底にある、そんな危険因子(ハザード:ozaki注)が会社組織の中で表面化した結果。


人間の感情を完全に制御することが不可能なのと同じように、不祥事を根絶することは無理。


しかし会社組織の中でついたウソは、消費者や取引先の信頼を裏切り、ときには国民の命を脅かす。社員一人のウソが社会を揺るがすこともあり、組織内でついたウソは重罪に値する。


不祥事がなくならないのなら、どうしたらよいのか?
大切なのは、不祥事が発覚したときにリーダーがどのような対応を取るかである。


 以上の丹羽氏のコメントは私にはもっとも思いました。

「人(人の心)は弱いものでもあり、強いものでもある」という、人間観の上にたって経営におけるリスクマネジメントをする必要があります。

京セラの稲盛氏は、この人間観にたって、普段は強い、真面目な人間であっても安心することなく、システム的に「弱さが発揮できない、一瞬の魔の働きも制御する」ものを創るべきだ、と言っています。

たとえば、金庫の鍵を開けるときや、会社の印鑑を押すときは、必ず二人以上の人間で行うというルールを徹底する、一切例外を認めない、というようなことです。

 リスクマネジメントがしっかりしている会社はフェール・セーフのシステムが必ずあります。


 不祥事が発覚したときのリーダーの対応について見習うべき事件が米国でありました。
 1982年、米国のジョンソン&ジョンソン社の「タイレノール」事件。
解熱鎮痛剤「タイレノール」のカプセルにシアン化合物が混入し、7名死亡。

 この事件でジョンソン&ジョンソン社は、事件発生のわずか1時間後には、全米のテレビ・ラジオを通じて製品の使用中止を呼びかけ、約1億ドルの費用を投じて3100万個の製品回収に取り組んだ。

 当初、米食品医薬局(FDA)は、「全国的なパニックになる」「模倣犯罪を誘発する」といった理由で製品回収の全面的回収などに消極的だった。

 しかし当時CEO(最高経営責任者)だったジェームズ・バーグ氏は、情報公開を決断。回収作業と同時に、誰かがカプセルを開けて異物を混入することがないように、薬の形状をカプセルから錠剤に変更するなどの対応策を実施。

 さらに消費者からの質問に答えるためのホットラインの設置、完全包装した新品との無料交換、経営幹部のテレビ出演、160省庁への訪問、全社員およびOBへの手紙の発送、同事件に関する全ての手紙に対する回答送付など、きわめて迅速かつ断固たる対処を行った。

 7名の死者を出した事件にもかかわらず、このような徹底した情報公開と迅速な対応によって、ジョンソン&ジョンソン社の姿勢は消費者から高く評価され、企業イメージを格段に高めた。現在は(不祥事を根絶することは無理なら多分未来永劫まで)危機管理の教科書になっている。

 
 丹羽氏はこの事件から「リーダーがジェームズ・バーグ氏のような対処を取るためには、2つの価値観が必要だ。1つは”企業にとって不都合な情報であっても国民には企業と同じ情報を得る権利がある”というもの。もう1つは”国民の安全はすべてにおいて優先される”という考えである。経営トップはこの2つを肝に銘じなければならない」とコメントしています。